議事
(1)付託決算の審査
ア 報告第1号 平成28年度墨田区一般会計歳入歳出決算
イ 報告第2号 平成28年度墨田区国民健康保険特別会計歳入歳出決算
ウ 報告第3号 平成28年度墨田区介護保険特別会計歳入歳出決算
エ 報告第4号 平成28年度墨田区後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算
○委員長(しもむら緑君)
ただいまから決算特別委員会を開会いたします。
早速議事に入ります。
付託決算の審査を行います。
報告第1号、報告第2号、報告第3号及び報告第4号の各会計決算、以上4件を一括して議題に供します。
本日は、一般会計の款9・教育費及び款1・議会費の質疑を一括して行います。
この際、理事者に申し上げます。答弁に際しては、質疑の要旨をよく把握し、大きな声で簡潔明瞭に答弁されるよう、お願いいたします。
なお、答弁に当たっては、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されるよう、お願いいたします。
また、各委員に申し上げます。質疑に当たっては、質問の趣旨をはっきりと述べ、決算書等の当該ページ及び委員会資料の当該番号をお示し願います。
◆委員(井上ノエミ君)
まず、167ページの学力向上「新すみだプラン」推進事業について、特に墨田区の学力向上3年計画の成果について、お伺いします。
今年度の学習調査の結果を見ると、墨田区の子どもたちの学力が、着実に向上しています。特に、小学校の国語と算数では、全国平均を超えるレベルになってきています。小学校では、まず、読み書き、そろばん、基本的な漢字が読めて書ける、九九を確実に覚えて基本的な計算ができるといった基礎学力が一番大事です。中学、高校に進んでも、社会に出ても、この基礎ができていないと大変困ることになります。
しかし、墨田区の学校では、これまでなかなか基礎が徹底できなかった。今回、このような結果を出せたことは、大変すばらしいと思います。加藤教育長のリーダーシップと教育委員会のスタッフの皆様、現場の校長先生や教員の皆様の努力に敬意を表したいと思います。
今回、このような成果を上げることができた要因について、教育委員会として、どのように分析をしていますか。また、来年度に向けた課題についてもお伺いします。
◎すみだ教育研究所長(石原恵美君)
墨田区の児童・生徒の学力が向上してきている要因についてですが、まず、校長のリーダーシップのもと、学力向上への意識が、各教員に浸透してきていること、また、学力向上に向けての取組が、学校全体で組織的に図られていることが考えられます。
そして、このような状況のもとで、各学校で、児童・生徒が落ちついて授業に臨んでいること、各教員が「分かる、できる」授業が定着するよう取り組み、また、補習にも取り組んでいる。こういうことが結果につながったと分析してございます。
次に、来年度への課題については、今年度の区の学力調査結果を見ますと、小学校低学年から中学校では成果が出ていますが、高学年については、まだまだ上がり切っていない状況です。今後、そちらについても上げていきたいと考えています。
また、全ての学校で上がっているわけではないという課題があるので、来年度に向けて、区内全ての学校の学力が向上するように、継続的に取り組んでいく考えです。
◆委員(井上ノエミ君)
中学については、小学校での基礎学力がしっかり付いていないと、国語や数学の学力の向上はなかなか難しいと思います。小学校の漢字を覚えていない、九九の計算が身に付いていない生徒も多いと思います。まずは、小学校の基礎から復習していく必要があります。
しかし、中学校では、生徒も先生も部活で忙しいので、なかなか学習の時間がとれないと思います。中学校での学力向上については、小学校と比べてかなり難しいと思いますが、どのように取り組んでいるのか。また、来年度の取組についてもお伺いします。
◎すみだ教育研究所長(石原恵美君)
ご指摘のとおり、小学校の内容をしっかり身に付けていくことが、中学校の学力向上につなげていくことに重要であります。したがって、中学校では、小学校の内容が十分に身に付いていない生徒に対しては、放課後学習等を活用して、理解が十分でない内容の定着を図っていきたいと考えています。
また、小学校の積み上げが重要であり、小学校の段階での確実な基礎、基本の定着が非常に重要です。これを確実に行っていきたいと考えております。そこで、来年度に向けて、小学校の学習内容のうち、学力調査によって明らかになった課題のある学習内容について、指導のポイントを教育委員会で作成していく予定です。それらを各学校へ提供していくことを考えています。
◆委員(井上ノエミ君)
墨田区の子どもたちが、小学校でしっかり基礎学力を身に付ければ、中学校に進学しても、それほど心配することはないと思います。まずは、小学校で基礎学力をしっかり固めていただきたいと思います。
特に、国語と数学は積み重ねです。1年、1年、確実に取得していく必要があります。国語と数学の次に重要な科目は英語です。
次に、墨田区における英語教育についてお伺いします。
墨田区では、来年度から、小学校3年生から英語のクラスを始めると思います。これまでの日本の英語教育は、読むことと文法中心でした。そのために、中学から英語を学んでも、全く英語を話せない人が大変多いです。文部科学省は、それを大きく変えて、コミュニケーションを重視し、話して、聞いて、読んで、書けることができる英語教育に変えようとしています。
小学校3、4年生では、話すこと、聞くことの練習が大変大事です。例えば、トマトのことを英語では「tomato」と言います。マクドナルドのことを「McDonald’s」と言います。オレンジは、「orange」です。このように、英語と日本語は、発音が大きく異なりますので、まず、子どもたちは発音の違いをしっかり練習する必要があります。そのためには、授業では、子どもたちが中心になって発話しなければなりません。
これまで、墨田区の小学校の英語のクラスを見学した経験では、子どもたちの発言が少なくて、アシスタント・ランゲージ・ティーチャー、ALTが一方的に話している。あるいは先生が話してALTがその発音を直しているクラスがありました。授業時間の大半を、子どもたちが英語を話すような、楽しい英語の授業をやる必要があります。そして、そのような指導法について、是非研究していただきたいと思いますが、教育委員会は、小学校での英語教育について、どのように実施するつもりなのか、お伺いします。
◎指導室長(横山圭介君)
従来、小学校の英語活動においては、英語に慣れ親しむことを目的として、話す、聞くというコミュニケーション能力の育成を重視してまいりました。
しかしながら、委員ご指摘のとおり、子どもたちの発話量がまだまだ少ない状況も見受けられるところです。子どもたちが安心して発話を行うためには、発話しやすい雰囲気や、外国人講師、担任の連携、問い掛けのテンポなど、さまざまな工夫が必要となります。子どもの発話を多くする授業を進めるために、教員対象の英語活動研修会においては、外国人講師も参加して、授業方法の伝達等を行っています。また、英語教育推進リーダーという教員がいて、こちらが、外国人講師と連携した授業を公開し、子どもが主体的に英語を用いてコミュニケーションを図る活動について、モデルを示しているところです。
今後も、子どもたちの発話量の多い授業を目指す形で、学校に伝えてまいります。
◆委員(井上ノエミ君)
小学生用の大変よい教材として、アメリカ人が開発した元気イングリッシュという教材があります。この教材は、今申し上げたような、子どもたちの英語の話す、聞く能力を訓練するには大変よい教材です。それほど値段の高い教材ではありませんので、是非、購入して研究してみていただきたいと思います。
次に、中学校での英語教育について、伺います。
現行の中学校の英語の学習指導要領を見ると、第一の目標は、初歩的な英語を聞いて話して、意向などを理解できるようにすることです。第二の目標は、自分の考えを話すことができるようにするとなっています。英語を読むこと、書くことは、3番目と4番目の目標です。
もし、日本の中学校が、この学習指導要領に従って、英語教育をきちんとやっていたら、中学校を卒業するときには、簡単な英語を話したり、聞いたりすることができるようになっているはずです。外国人観光客から道を聞かれて、逃げ出す必要はないはずです。
つまり、今の学習指導要領に従った授業が行われていないことが、英語教育の大きな問題です。そして、新しい学習指導要領になると、英語を話すこと、聞くことが、もっと重視されます。
また、先生は授業を英語でやらなければなりません。一部の英語のできる教員を除くと、普通の英語の先生では、学習指導要領に従った授業の実施は、相当難しいと思います。ALTもいますが、これまでも余り効果を上げていません。私は、外部のすぐれた英語教育の専門家の手を借りる必要があると思います。墨田区として、中学校での英語教育の改革に、どのように取り組む考えなのか、お伺いします。
◎指導室長(横山圭介君)
ただいまご紹介いただきました英語教材、元気イングリッシュにつきましては、オリジナルソングやゲームを収録した魅力的な教材であると認識しております。東京都や文部科学省の作成した教材を、今後活用することを検討しておりますので、この教材との関連を図りながら、効果的な導入ができるかどうか、研究してまいります。
また、中学校の外国語教育につきましては、今、ご質問いただいた中で、目標の1から4については、重要度の順位制を必ずしも示す形ではございませんので、学校としては、四つの項目全てについて、丁寧に指導しているところだと思います。
ただし、話す、聞くという能力については、十分に高まっていない現状も認識しております。今後、聞くこと、話すことを重視した英語授業につきましては、何といっても教員の資質向上を図ることで推進していかなければならないと考えております。
中学校教員の研修につきましては、本年度から、東京都で開始された生徒の英語によるパフォーマンスを高めるための研修に、全ての教員を参加させてまいります。また、外国語教員の海外派遣研修の参加教員や、オールイングリッシュで行われている英語力向上を図るための教員研修等の参加者を講師役として、区内の英語教員へ伝達研修を行い、教員の英語力、英語による指導力を高めてまいりたいと考えております。
○委員長(しもむら緑君)
以上で、新しいすみだの質疑を終了いたします。